高所恐怖症の元スノーボーダーがフリースキー初心者となってゲレンデに戻った記録。
スキー10日目の俺は、とうとう5ロマに乗ってしまった。
今日は強烈な助っ人と一緒だったからだ。
それは、俺の叔父。指導員までは狙わなかったらしいが、スキー1級まではとった、というスキー歴ウン十年のベテランだ。
かれはいつも蔵王や長野で滑っていて、かぐらには来たことがないという。
「せっかく来たんだから、頂上のリフト乗って、上から写真撮りたいよな、行こう!」
ということで、のちに大後悔する初5ロマの旅に出た。
リフトに乗っている間、コースが見えない。
どこがコースだ?
見えるコースっぽいところは狭いしコブコブしている。
まさかここを滑るのか??? 俺、若干冷や汗?
5ロマのリフト頂上に着いた。
バックカントリーの人は後ろのゲートに向かう。リフトを回す人はリフト下へ滑っている。
しかしほとんどの人が、オレンジのネットをひょいっとくぐってコース外へ行ってしまう。
叔父さんはコース外は行かない、安全第一。
でも、コースはコブだった。俺の安全は保障されなかった。
朝一のコブは、新雪が風で吹き飛ばされて青い氷が光り、溝に吹き溜まった新雪は20cmくらい積もっていた。
スキー10日目の初心者の俺、初コブ。まじか、ここしか降りるとこねーのかよ??
荷重バランスができてない俺は、デコボコに飛ばされる。
脇に逃げると新雪にスキーが刺さる。
板が外れコブに残り、俺だけ数メートル滑落。
板を取りに行きたくても、斜度がキツく、道具なしのアイスクライミング状態。滑って全く登れない。
ストックの先をピッケルのように突き刺したが、氷なので固く刺さらない。
ピッケルなしでどうやってこの氷の壁を登るんだ?俺ピンチ。
仕方ないのでつま先をアイゼンの爪を刺すようにカツカツ蹴って突き刺してみると、なんとか削れ、よじ登って板を取り戻した。
リフトを降りたところでボーダーがボードを落として追いかけていたが、バックカントリー中に板が無くなったら死活問題だ。
ガリンガリンのアイスバーンの朝一のコブは、だれも滑らない。
5ロマも同じで、みんなここを避けてネットをくぐり、林の中を降りているのか?林の中の方が安全なのか?
俺はトレースのないこぶを避け、コース脇の林に逃げた。
そこは、音のない別世界だった。
どういうラインで降りていけば安全なのか?最初のターン、次のターン、斜度、必死に状況を考えて板を回す。
(1級の叔父さんはもうずっと先に降りてしまっていた)
ヘルメットをつけてこなかったのを若干後悔…。
でも、林の中は風も無く、静か。結局コケなくて済んだし、すごく楽しかった。
ガリガリに凍っている急斜面に木が出ているので危ないけれど、右の林を進む人はほとんどいない。木漏れ日が輝いて、夢の世界のように美しい。
とは言ったものの、命がけの林間コース、初心者は来てはいけないコースでございました。ごめんなさい。
安全な林の中を滑って、なんとか5ロマ乗り場に出た。
かぐらメインゲレンデがいかに安全で素晴らしいゲレンデなのか、俺は心から感謝した。
もうメインゲレンデの斜度もザラメ雪がボコボコになっていても、あまり怖いと感じなくなった。
今回のスキーで、叔父から教わった事。
・滑っている時は、目線は谷を向く。ターンするときも目線は谷。上半身をひねるように。顔だけではだめ。股関節より上を谷に向ければ、ひねる力でスキーをコントロールできる。もしターンするスキー板の先と同じ方向をずっと向いていたら、コントロールできず加速してしまう。(おお~!確かにそうかも!)
・ストックを持つ腕は、胴体に肘がくっついてはだめ、大木を抱きかかえるように、丸く構える。そのほうが上手く見えてカッコイイから。(え?そこですか。笑)
・上手な滑りをする人は、体が柔軟。ガチガチに構えてしまっては上手く滑れない。特に春スキーのゲレンデコンディションでは衝撃を吸収できなくて跳ね飛ばされたり転ぶ危険がある。(たしかに!)
・怪我をするような無理はしちゃだめ。疲れを感じたら、早めに切り上げる決断がすごく重要。(あと1回滑って終わろう、と思って上に行くと、後悔することが多い俺、反省。)
・俺(叔父)は5シーズン独学でスキーをやってしまった。後に会社のスキークラブ(指導員クラス)の仲間と何シーズンも滑ったけれど、癖を直すのが大変だった。最初にスクールに行った方が絶対に上達は早い。
以上の通り、今日は多くのことを学んだ。
叔父のアドバイスに従って、ターン中も上半身をひねって谷を向いてみた。スピードをコントロールできた。踵ではなく、つま先に重心が乗るようにバランスを取ると、ますます板が良く止まるようになった。
俺、この日は今までにないスピードで斜度のある坂を滑れるようになったと思う。
かぐらゴンドラコースの斜度のあるところ(出だしとレストラン先)が怖かったのだが、怖いと思わなくなった。というか、ゴンドラコースがつまらなく感じた。
また今日のスキーでは、足首まで埋まるパウダーの下にスキー板が隠れ、粉の中を無音でするする進む感覚がなんとも言えない体験であった。
俺の今後の課題は「急斜面の荒れた面・不整地の攻略」となった。
スピードや板への体重の乗せ方も学ばなきゃだ。
スキー: 今日の学び
5ロマは若干異世界。