高所恐怖症の元スノーボーダーがフリースキー初心者となってゲレンデに戻った記録。
ある日俺は、毎年キッカーで肋骨を骨折しているという勇者と休憩所で一緒になった。
社会派の俺たちは、レディースデーの高齢化問題について話し合った。
俺: かわいいギャルが多いスキー場ないっすかね?
肋骨: この辺なら神立だね。水木金はクレープと風呂がついて女は2000円なんだよ。
俺: まじっすか!クレープぐらい俺が100個買ってやるよ!!
持つべきものは友である。
期待に◯が膨らむ!
若干、知能指数に問題がある可能性が散見されたが、調教すれば良いので寛容に見守る。
神立と言えばパーク。
ギャルを求め、俺はまずパークを巡回した。
年齢層が若いだけあって、みんなよく飛んで上手だった。若いっていいな。
この頃は俺もバイクでぶっ飛んでたけど、今じゃ重力が変化して飛べないニワトリだ。物理の仕組みは複雑である。(変化したのは体重だろ)
フリースキーヤーよりもスノーボーダーの方が多く、男ばっかりだったので、違うコースを滑ることにした。
端パウに埋まるギャル と一緒に埋まったりして 助けたりして、思わぬ出会いがあるかも知れないじゃん?
なんとなくリフトで上がってコースに出たら、結構急なコースだった。
コースマップを持っていなかったので、携帯で調べたら「ヘラクレス・最大斜度40度・平均34度」となっていた。
パウダーの下は、ガリガリの氷。
不整地ボコボコに涙目の俺。
リフトとレストランから俺の必殺横滑りが丸見えだ。
あぁ恥ずかしい。
もう神立来れない。
どうにか下まで降りると、端で立ち止まっている人がいた。
その人は、俺が降りてくるのを待って、話しかけてきた。
仙人のようなシニアスキーヤーだ。
仙人: 君、よくこのコースをハの字で降りてきたね。
(うるせーよ、ハの字しかできねーんだよ)
俺: ありがとうございます、次のハの字オリンピック代表なんで、練習してるんすよ!
仙人: 笑 スキーどのくらいやってるの?
俺: 今年からリフトで目が開けられるレベルになったんで、相当上級っすね!
仙人: はっはっは!そういうレベル!君、面白いね、一緒に滑らない?
(そーゆーレベルって、どーゆーレベルよ?!)
つーことで、レディースデーという貴重なこの一日を、なぜか老人と滑ることになった俺。
仙人: これはね、白板というリフト。結構急なコースがこの間オープンしたの。冒険家の俺君も、挑戦してみたら?
俺: あ〜45度のオリオンすね。余裕っすね。
迂回コースなし。
オリオンの入り口は、最初がストンとした壁。
そこを落ちてから斜度が始まる感じになっていた。壁はもちろん氷である。
仙人: ここがね、最初が降りるの大変なんだよね。
と言いながら、仙人はガリガリと氷の壁を削りながら斜めに入り、すぐにガスで見えなくなってしまった。
2~3メートル下の雪がついた所まで降りられれば、俺の得意技の横滑りで降りられる。
でもこの方向では苦手な右谷足で降りなければならない。得意な左谷足からのアプローチでは斜めに入るきっかけさえなくて、飛び降りないといけない。
オリオン頂上に一人取り残された俺は、恐る恐る上からのぞいてみる。
あぁ、なんかもう、やっぱ壁。
心拍数マックス。
こえーよ!!
雪が付いてるとこまでジャンプで降りても、着地でコケたら下まで滑落だ。
・・・ハイ、高所恐怖症の俺、無理。
つーことで、降参。ごめんなさいごめんなさい、もう二度と来ません。
俺は、白板リフトの降り場まで、必殺カニカニ登り♥で登り返した。
恥ずかしくてもう神立行けない。
先に降りた仙人は、オリオンの下で待っていてくれた。
仙人: はっはっは!俺君、戻ったの!強気だったけど、意外とかわいいね?
(クッソ~!)
○| ̄|_
俺: だってあそこ、コケたら下まで滑落っすよ、シーズンまだあるし、怪我したくないっすから!!(言い訳情けねー)
仙人: うんうん、かしこいよ。俺君、スキーはね、そんなに簡単じゃないよ。でも、基礎的なことはフリースタイルスキーも山スキーも同じ。基本ができていれば、何をやっても上達するよ。俺君は、今シーズンでオリオン降りるのを目標にしてみたら?教えてあげるから、また滑ろうよ。
(恥ずかしくて神立はもー行けません!!)
この日は吹雪で視界が霞んで幕を閉じた。あるいは、俺の悔し涙で霞んでいたのかも知れない。
こうして、俺の「ギャル獲得」と「神立オリオン45度」への挑戦は、必殺カニカニ撤退登りによって大失敗に終わったのだった。
死にたい。
○| ̄|_
スキー: 今日の学び
ガックリして宿に帰ったら、10人くらいの女の子がキャピ♥キャピ♥してんのね。
えぇっっ?!もしかして俺ラッキー?酒池肉林?
Thank God !体力持つかな~?彼女たちは英語が少し話せたので、ちょっとナンパ。
どうやら、台湾から来ている子たちで、日本の色々なスキー場を旅しているらしい。
だがしかし、その10人のうち、一人だけ、男がいたのよ。
長髪ムキムキで、なかなかイイ男だ。
彼女たちはヤツのハーレムだったのだ!!
まじで不公平だろ!!!
「神は死んだ」
ツァラトゥストラはかく語りき。
By フリードリヒ・ニーチェ