高所恐怖症の元スノーボーダーがフリースキー初心者となってゲレンデに戻った記録。
山に行くときに、何で湯を沸かすか?
ツーリングで行く山、車で行くグランピング、登山、バックカントリースキー、エトセトラ。
日帰り・泊まり・季節など、その状況によって、適切なクッカーは変わるだろう。
若いころ、仲間とバイクで山に入ったときは、よく河原で薪を集めて火を焚いた。
今日のように、みんな同じ格好で鈴をリンリン鳴らしながら山に入る登山客はいなかったし、山に入って来るヤツ自体、昔は少なかった。ライター1本でブッシュクラフトできた時代が懐かしい。
みな、暗黙の了解みたいなマナーを守っていたし、ゴミもなく、焚き火禁止条例が無くても、昔の山は今よりずっと綺麗だった。
今年は全国で自然災害が多発したし、俺たちは災害や遭難対策の一環として、湯を沸かす道具を検討した。
我が家には、万が一、家に閉じ込められてライフラインが絶たれても、夫婦二人が1か月は生き延びられる水と食料、燃料やトイレ対策が準備してある。
しかし今回は、アウトドア、特に雪山遭難を想定した道具を新たに買い足すことにした。今日はそのまとめ。
ガスを使うか・アルコールを使うか
自然の中で湯を沸かす手頃な道具は、焚火ができないとしたら、ガスかアルコールの2択が一番手軽なツールだろう。
最初はガス缶の重さから解放されるアルコールストーブに魅力を感じた。
しかしアルコーストーブは風防や五徳が必要だし、例えば1リットルの水を沸騰させるのに、アルコール燃料はガスより多く燃料が必要になる。
200gのガス缶≒500gのアルコール燃料
結論から言うと俺はジェットボイルを買ったんだけど、ジェットボイルなら総重量200g(ガス100g)の一番小さいOD缶で、12Lの水を沸かすことができる。
一方でアルコールストーブでは0.5Lの水を沸騰させるのに20cc弱の燃料を使うため、大袈裟に計算すると12Lの湯を沸かすのに約480ccのアルコール燃料が必要になる計算だ。
日帰りハイキングならアルコールストーブが最強かも知らないが、日帰りで安全に帰宅できるのならポットに熱湯で済むし、そもそも贅沢を求めなければ熱湯がなくても俺は構わない。
だが、一旦遭難したら日帰りで解決するとは限らないし、数日の遭難を想定するならば、結局はガス缶の方が軽量だし安全だ。
ストーブが壊れたりガス缶もなくなったらいよいよ緊急避難で焚火禁止条例に対抗だ。立ち枯れしている木で焚き火するしかないだろう。(俺は山にはノコギリを持参している)
燃料の量や重さと、クッカーの熱効率
ということで、今回はガス缶のストーブを検討した。
UL(ウルトラライト)がもてはやされるアウトドア業界では、とかく重量にばかり目が行くが、燃費も重要だ。
ガスストーブを色々検証し、燃費を調べて行くと、結果的には熱効率が一番良いジェットボイルにたどり着く。
ジェットボイルは熱効率が通常のクッカーの倍のため、他のガスストーブの半分の燃料で沸騰してくれるのだ。
色々な種類があるジェットボイルを整理するため、自分が重要視する部分を比較表にしてから購入した。
ジェットボイルは、氷点下で安定して使える低温冬山仕様の有無で、大きく2種類に分かれる。俺は富士山をスキーしたいので、必然的に雪山で使える低温対応のストーブが良い。
低温対応から選ぶと、一番軽量コンパクトなマイクロモに行き着き、ポチッと注文。
つーことで、ガス缶と併せて2万超えの出費。
ジェットボイル 用ガス缶100gで500円て、どんな強気よ?500円あったらカセットコンロ用CB缶250gが3本もいけちゃうんですけど。
氷点下の雪山で、カセットコンロのCB缶で湯を沸かす方法
さて、宴会で使う家庭用カセットコンロのガス(CB缶)は、雪山では使えないのか?と、インドアな友達から聞かれることがある。
結論からいうと、手間をかければ使える。
つーか、沸点温度を気にしなければ標高が高かろーがCB缶でも沸騰させられるし、氷点下だろうが寒冷地仕様じゃなかろうが、コスパ最強のCB缶でいける。
さらに、標高1500m、気温-10度で風ぴゅーの雪山でもエスプレッソを抽出し、数人分の牛乳を沸かしてラテを作ることも、CB缶とイワタニのカセットジュニアで普通に出来るので、なおさら俺にはOD缶は不要だった。(イワタニ重いけど)
氷点下10度で風があったら、普通はカセットコンロのガスは使えない。
水をクッカーに入れた瞬間、過冷却の水がシャーベットになるほどの極寒の中で、では、どうやってカセットコンロ用のガス缶を使うのか?
答えは簡単で、缶を温めてホッカイロと一緒に保温マットでくるんどきゃ良いだけだ。笑
ガス缶にお湯をかけて温める話も聞くが、保温して外気を遮断し、中から温めた方が簡単だ。(高温注意/自己責任でね)
だからジェットボイルも安いヤツで良いのかも知れないが、富士山の突風の中とか、雪山遭難など極限を想定すると、低温対応のマイクロモが安心だなーと。
それに、もし怪我でもして遭難中だったら、俺はきっとイワタニのカセットジュニアの組み立てで力尽き、凍死してしまうだろう。(俺にとっては知恵の輪みたいなストーブなんだ)
ガス缶と併せて総重量600g。重さだけで判断したら重いし調理には不向きだ。しかし雪を溶かしたり、12L近くの真水を殺菌したりする道具としては、相当に軽い。
つーことで、ゲレンデで滑落するだけの俺には豚に真珠な、ばか高けぇ山道具に散財した話でした。
(生きるためのサバイバル道具も大切だが、スキー技術の習得が先に必要な気がしてならないのは気のせいか?笑)
スキー: 今日の学び
1缶で12Lの湯が沸かせるとすると、1日2Lの水で6日間生き延びられる。
一週間近くあれば、さすがに天候も落ち着くだろうし、下山のチャンスも高まるだろう。
最大の問題は、雪洞内で過ごすための1週間分の酒をどう携帯するかっつーことだな!!