高所恐怖症の元スノーボーダーがフリースキー初心者となってゲレンデに戻った記録。
最近俺は、「なんだよ、ゲレンデはもうどのコースも余裕じゃね?」とか思っていた。
不整地ハの字はさておき。
もーね、先に結論言うよ。
以下の通り撃沈したっすよ!
つーことで、またもや俺の
BC行ったのはだいぶ前の話なんだけど、面ツルパウダーエリアがあってね。
木々はそんなに密集しておらず、ターンするには十分な間隔があったが、結構な斜度だった。
怖いから必殺横滑りしようと思ったんだけど、20cm位のパウダーで横滑りができない。雪が深すぎて止まっちゃうのね。雪は足元から雪崩みたいに崩れるし、めちゃ怖い場所だった。
でも俺が止まるとツアーの他の人に迷惑かかるし、しょーがないので急斜面パウダーで命がけターンっすよ。(どんな急斜面でも横には行けるけど、板揃えて板先を前に落としてドロップする瞬間の高所恐怖感がたまらないっす。)
あぁ、こんな事ならもっと急斜面のゲレパウで練習しとくべきだった。(緩斜面端パウでおなかいっぱい)
あぁ、みつまたロープウエイ1便の競争に参加しとくべきだった。(2便に乗ったのに3便にみつまたリフトを追い越される相方にペースを合わせてはいけない)
あぁ、ゴロマ運休でもハイクして田代落ち位の斜面で深雪をガシガシ練習しとくべきだった。(看板周辺でシールつけてる人いるよね)
あぁ、階段とか登って「登る筋肉」鍛えておくべきだった。(ハイクと滑る筋肉は違う!)
JaPowなハイシーズン、俺何やってたんだ?
(雪に埋まったり、女のケツ追いかけてました)
これまで俺は、難所は横滑りやカニカニ登りで逃げてばかりいたし、前傾だろうが後傾だろうが、板の長さのおかげでコケることがないから上達したと錯覚していた。
しかしバックカントリーのフィールドでは技術からメンタルまで、あらゆる問題を容赦なく叩きつけられた。
例えばコーナリング。パウダーの中で得意の後傾小回りぴょんぴょんはできるけれど、ちゃんとした中回り・大回りはもちろん、小回りなんて後傾でできっこない。
なんとか滑ってはいたけれど、まったく板が使えない。圧/たわみが不均一で、重心位置も一定しない。
たとえば、35度とか40度ある急斜面不整地の面ツル膝パウで大回りして、うわー気持ちいい~とか滑っていても、どこかで「これ、何かごまかして滑ってるよな?」と感じていたことが、自然の雪山では「それみたことか」という現実になって返ってきた。
バックカントリーで怪我したりすると方々に迷惑がかかるわけで、普段より慎重に滑るため、普段よりずっと滑れない自分がいたのだ。
ゲレンデの滑りを見ているガイドさんに「俺さん、ゲレンデだと思って滑ってください」って何度言われたことか。俺、チキンすぎる。
ある山のプロの方が言っていたことを思い出す。
「パウダーだから極端に後傾にして滑る、なんてことはないんですよ。後傾で滑るような滑り方は、ひとつの滑走方法としてあるかも知れません。でも、圧雪アイスバーンでも1メートルのパウダーでも、「板の中心に重心」という基本的なことは何も変わらないんです。」
でも俺は、圧雪と同じようなポジショニングでパウダーを滑る術をまだ習得していなかった。圧雪滑っていい気になってる場合じゃなかったのだ。
なんでこんなにスキーは難しいんだ?
スキー: 今日の学び
かかとフリーという不安定な足元にシールが着いた「世界中のストップ雪を俺の足元に集めましたイエーイ!!みたいな板」で、俺は最初、全く前に滑ることができなかった。
なんだよこんな板でどーやって滑れっつーの?
登攀途中の下りのとき、シールの抵抗で横滑りもできないし、必殺カニカニ下りでごまかそうとした。
必殺技増えすぎな俺を見たガイドさんが、
「俺さん、頑張って板揃えてシールで滑ってみましょう。今やらなかったら、次回も滑れないです。きっとその次も同じです。ハの字でいいですから、板の真ん中に加重して、膝柔らかく、足元見ずに目線は前へ。頑張って滑ってみましょうよ!」
と言ってくれた。
俺は何度も何度もコケ、頭から雪に突っ込んだ。荷物は重いし暑いし喉乾くし足はがくがくだし、もうほんと、半泣き、本気でしんどかった。
でも、最後の最後は何とか滑れるようになった。
ガイドさん本当にありがとうございました!!
この人が言ってくれた言葉は、俺、一生忘れないと思う。
スポーツは技術だけではなく、メンタルも相応に鍛えにゃならんのだ。
俺がスキーの技術習得から逃げてレディースデーを放浪していた間に、東京は桜の開花宣言。世間は、春になってしまった。
そろそろ真面目に春スキーしますわ。
俺の春は終わりました?!