高所恐怖症の元スノーボーダーがフリースキー初心者となってゲレンデに戻った記録。
板の中央に乗れず、小回りもできず、「太板に乗ってるのにハの字」という辱めしめに日々耐える俺は、スクールに救いを求めることにした。
今回参加したのは俺を含めて3名。
1、スキー初心者の俺、
2、ウエアの裾が短すぎる「つんつる君」、
3、美人の「上品な人妻」!
つんつるは1級受験予定で、「迎え角」だの「推進力」だの?先生を謎の言葉責めで独占するオッサン。
そしてもう一人は人妻。
美人で人妻な時点でヤバいけど、すげー感じよくて、常に上品に優しく微笑んでんのよ、その人。ボトックス失敗したみたいに。
おまえ皇室にでも嫁ぐんか?的上品さと、どことなくエロさを漂わせるいいオンナだったわけよ!
この日のスクール期待大!!
で、スクールで最初に乗ったリフトは二人乗り。
つんつるとインストラクターが先に行ったので、俺と人妻がペアになったのね。俺ラッキー!
人妻は、
「俺さん、スキー始めたばかりにみえませんね♥」(態度だけは上級者より上っすから!)とか、
「ウエアかっこいいですね♥」(脱いでもすげーけど脱ごうか?)とか、
「板大きくて素敵ですね♥」(え?ナニがデカイって?)とか。
もーまじかよ!
「ふ…。奥さん、俺に惚れたら大変なことになるよ?」とか耳元で囁いてやろーかと思ったが、ぐっとこらえる。
ここはキャバクラじゃねーぞ、しっかりしろ俺。
しかしとにかく、天使のような彼女の笑顔がまぶしくてたまらない。
もう、このままリフト故障しろ。
しかし次の瞬間、俺は見てしまった。
彼女の鼻の下に、キラリと光るナニかを!
あぁ、神様!
それは紛れもなく、彼女の鼻水であった…。
俺、ティッシュあるけど、渡した方が良いのか?
いや、そんなことしたら彼女を傷つける、だめだだめだだめだ!
見なかったことにしていると、ちょうどリフト降り場に着き、レッスンが始まった。
先生は何かを説明し、先生に続いて、つんつる、人妻、俺の順で滑っていく。
もはや俺には人妻のケツしか目に入らない。
そして、次に乗ったリフトはクワッドだった。
クワッドは、「俺、人妻、先生、つんつる」、の順で座った。
つんつるは相変わらず物理の法則がどうのとか、先生を独り占めだ。
つんつる、Good Job!!!
このままイントラと一緒に超弦理論を超える知的な会話で現代物理学を覆してくれ。人妻は俺に任せろ。
暇を持て余した人妻が俺に話しかける。
「俺さん、富士山滑るのが目標なんてカッコいい♥」
人妻は語尾に♥をつけて執拗に俺をほめちぎる。
パラレルのつんつるじゃなくて、ハの字の俺が選ばれるなんて。
もうハの字のままでいーのかもしれん!!と、俺が新たなスキーの学びを悟るか悟らないかの時だった。
彼女の鼻水が、2mmほど成長しているではないか!
あぁ神よ、なぜいつも俺に試練を…?!
○| ̄|_
30分前、彼女の鼻水は1mmだった。
つまり、時速6mmで成長しているのだ!
スクールは2時間だから、このまま行くとレッスンが終わるころには12mmだぜ?
三日後には胸の谷間を抜ける計算だ!あぁ、そんなところまで…!?
もう、俺の精神は限界であった。
時速6mmの鼻水はその日、ブラックホールの如く、全てを量子レベルで俺から奪い取ってしまった。
俺はレッスンの後半、久しぶりにコケた。超緩斜面で。
覚えているのはそこまで。
いつの間にかレッスンは終わり、俺は一人、地吹雪吹き荒れるゲレンデに取り残されたのであった。
スキー: 今日の学び
これは、何かのプレイなのか?
この変態世界が、スキーの世界なのか?
そうなんすか、やっぱそうなんでしょ?みんなド変態なんすね??
・・・もはや俺は、スキーなしでは生きていけない身体に調教されてしまったのかも知れない。スキース教室の罠だ。