高所恐怖症の元スノーボーダーがフリースキー初心者となってゲレンデに戻った記録。
年末寒波到来!一日で80cmの積雪ってどんな~?
スキー初心者の俺は、ルンルン気分でスキー場に行った。
新雪の滑り方を覚え、バックカントリーの練習だ!イエスイエス!
予報は一日中雪、最高気温は氷点下。普段より一枚多くインナーを着てリフトに乗る。ボーダー時代はこんな吹雪の日にわざわざゲレンデに出たりしなかった。俺も成長したもんだ。
リフト乗り場に向かうまでが、すでに膝ラッセル。新潟すげー!
今回はおとなしく、中~緩斜面の圧雪バーンで練習する。
圧雪バーンはスネくらいの新雪だった。
無音でスキーがするすると滑る。
深い所は膝位のパウダーだった。
中緩斜面であることと、パウダーの抵抗であまりスピードが出ない。或いは世界が真っ白すぎて、スピード感覚がマヒしているのかも知れない。とにかく滑走がとてもゆっくりに感じる。
まるで動く歩道に乗ってるみたいだ。
オーリー(ウイリー)が簡単にできた。全く怖くなくて面白かった。
俺は回る車輪を与えられたラットのように、リフトに乗っては膝パウを楽しんだ。
リフト、膝パウ、リフト、膝パウ。
リフトを2回まわしたら俺、飽きた。(早!)
なんだよつまんねーよ?
ということで、端パウを狙うことにした。やっぱり外れたことをするのが好きなのだ。
ゲレンデの端っこは太ももくらいまでフワッフワだ。
急ブレーキで「端パウスプレー!うっひょ~!」「ジャンプジャーンプ!ヒーハー!」とか調子こいて一人遊びしていたら、雪の中でスタックし停止した。
板を動かそうにも、雪が重くて動かない。
周囲を見渡すと、いつのまにか無音。しかもホワイトアウト。
俺はどこ?ここは誰?何この雪?
俺、若干パニック。
ここは立ち入り禁止区域じゃない。ゲレンデ内の未圧雪バーンの吹き溜まりだ。積雪は板を履いた状態で太もも。このくらい進めるだろ?少し進めば滑走できるゲレンデに戻れるだろ?
しかし、えっさえっさと足を動かせば動かすほど、板ごとずぶずぶと雪に沈む。まるで底なし沼だ。
雪はすでに俺のケツにまできていた。
しかし雪はふわふわである。
は! ってことは、そうだ!キックターンだ!
足が短すぎて 長い板にしてからキックターンをすると立ちゴケしていた俺は、「キックターンの練習ができるじゃないか!ここならコケても痛くねーぞ!」とひらめいた!逆境を逆手に取る俺天才!
しかし「ゲレンデ脇の深雪に頭から突っ込んで窒息したスノーヤー」の話を思い出した。
雪がなくてもキックターンでこけるのだ。
すぐそこの足元の板でさえ雪が重くて動かせんのだ。
ここで頭から突っ込んでコケたら、俺も死ぬかもしれん。
なるほど、深雪でコケるキックターンの練習は自殺行為ということが分かり、板を外して脱出を試みることが最善であると判断した。正解を得るまでだいぶ時間のかかる頭の悪い俺である。
俺のビンディングはキングピン。いつも、ビンディングのつま先側を手で外しているのだが、雪が深すぎて手が届かない。
しかしポールで解放したことがないので、雪の中、手探りでどこを突いていいかわからない。そもそも俺がキングピンをスムーズにつけられるようになったのも数日前の話なのだ。笑
仕方がないので手で雪を掘ってどうにか空間を作る。
ようやくひざ下まで雪を掘ると、もう汗びっしょりだ!!余計にインナーを着てきたことを後悔。脱出できなかった人はこうやって疲労凍死に向かうのかも知れない。
なんとか板を外し(やっぱりポールではなく手で外した)、胸くらいまでのパウの中を泳ぐように、圧雪ゲレンデに戻った。
雪って泳げるんだね。この日はまだ腰〜胸くらいのパウダーだったけど、もし吹き溜まりが2メートルあったら、地中のモグラだよね?
そうなったら右も左もわからんし、誰からも発見してもらえないね。 俺はこの日、ビーコンや一緒に滑る仲間の重要性と、汗と深雪の危険性を改めて学んだ。
この端パウから脱出するのに、たぶん10分以上かかったと思う。
そしてノートラックの端パウを狙う俺に続いて、実は、若いボーダー3名が俺についてきていた。
もちろんこの子たちも俺と同じ場所でスタックだ!
ビンディングを外すのに雪に頭を突っ込んで真っ白になっていた。ごめんよ。(若い諸君よ、知らない人についていっちゃだめだよ。笑)
その後、リフトからゲレンデを見ると、端パウにハマってモゾモゾしてるやつが何名もいた。
まるで「ナントカほいほい」に捕まった「ナントカ」のようであった。もちろん第一ナントカは俺である。
そして俺のトラックを辿った他のナントカたちを助けるために、最終的にはパトロールやインストラクターも多数出動。パトロール達もパウの中で苦戦していた。
お…俺がファーストトラックを残したばかりに、多数の犠牲者が出てしまった。すみませんすみません、新潟の豪雪なめてました、みんな雪が降らない地域から来てて無知なんです、許してやってください。
ボード時代の俺にとって、端パウはビールを埋める場所でしかなかった。本日の80cmパウダー、すげー面白かったけど、ゲレンデで窒息はシャレにならんし、他人のトラックは安全だとは限らないのだと、色々と勉強にもなった一日でございました。
スキー初心者の勉強はつづく。
スキー: 今日の学び
豪雪地帯の端パウをなめちゃいかん。
「ナントカ」より。
みなさま、良いお年を!